投資の王様「バンガードS&P500 ETF(VOO)」を 5つのポイントから解説

voopoint 株式投資

このところ米国の上場投資信託ETFへの関心が高くなっています。過去40年間の日本と米国の株価上昇率を比べると、あきらかに米国が上回っています。
さらに新型コロナウイルス感染症の影響で日米の株価は下落しましたが、いったん底をつけた後の米国株の回復は驚異的です。

投資は「長期、積立、分散」が正攻法です。この面からも米国ETFが注目され、とりわけバンガード社が運用する「S&P500 ETF (VOO)」の人気が高まっています。
米国ETF投資は難しそうに見えますが、初級者にも簡単です。VOOは「長期、積立、分散」にぴったりの商品ですが、それだけでなく楽しみながらの投資にも適しています。
これから米国ETFをやってみたいという人に、VOOの基礎を5つのポイントから解説します。

●VOOとは?

そもそもVOOとはなんだよっていう方々のためにVOOの解説をします。

VOOはS&P500に連動するETF

VOOとは米国の株価指数S&P500に連動して運用されるETF(上場投資信託)です。
ダウ平均株価は米国経済を代表する30銘柄で構成されますが、S&P500は米国企業の中で流動性がある大型株500社で構成されます。S&P500は米国株式時価総額の約80%をカバーします。

S&P500は米国の強い経済成長力を反映し、長期の安定的なパフォーマンスをあげてきました。
【グラフ1】は1980年から2019年までの、S&P500とTOPIX(東証株価指数)の価格推移を比較したものです。S&P500は約24倍になりましたが、TOPIXは約3.5倍にすぎません。
米国株の魅力が分かります。

S&P500とTOPIXの推移 (1980年~2019年)
出所:S&P500 は「SPDR・S&P500 ETF Prospectus 2020.3.25」による。
TOPIX は「日本証券取引所グループ」による。

S&P500のセクター別構成比

それではS&P500はどのようなセクター(業種)から構成されるのでしょうか。

【グラフ2】をご覧ください。S&P500のセクター別構成を時価総額の比率(%)で表したものです。
米国の産業構造を反映し、IT(情報技術)が最大で、2番はヘルスケアです。

S&P500セクター別構成比(%)

VOOの組込み銘柄

つぎに、S&P500に連動するVOOにはどのような銘柄が組込まれているか見ましょう。
上位10社はつぎの表のとおりで、GAFAMに代表されるIT、通信サービスの大企業がそろい踏みです。

銘柄シンボルセクター構成比
1マイクロソフト(MSFT)IT
2アップル(AAPL)IT
3アマゾン(AMZN)一般消費財サービス
4フェイスブック(FB)通信サービス
5アルファベット A (GOOGL)通信サービス
6アルファベット C (GOOGL)通信サービス
7ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)ヘルスケア
8バークシャーハザウェイ(BRK.B)金融
9ビザ(V)IT
10ロクターエンドギャンブル(PG)生活必需品
(出所)VOO Prospectus 2020.4.30現在

この他に、ウォルトディズニー(21位)、コカコーラ(27位)、マクドナルド(37位)、コストコ(39位)など私たちに馴染みの深い銘柄が上位に入っています。

●S&P500に連動する3つのETF

S&P500に連動しニューヨーク証券市場に上場されたETFは3つあります。
( )内は銘柄コードでティッカーと呼ばれます。

  • バンガード・S&P500 ETF (VOO)
  • SPDR・S&P500 ETF (SPY)
  • iシェアーズ・コアS&P500 ETF (IVV)

3つのETFの概要を比較します。

VOOSPYIVY
運用会社バンガードステートストリートブラックロック
(iシェアーズ)
設定日2010.9.72010.9.72000.5.15
ETF純資産総額
(2020.3.31)
1,202億$2,370億$1,623億$
経費率(年)0.03%0.0945%0.04%
市場価格(1株)
(2020.6.5終値)
293.61$319.34$320.48$
米国ETF比較

3つのETFはS&P500に連動して運用されますので、パフォーマンスに有意の差はありません
運用会社のバンガード、ステートストリート、ブラックロック(iシェアーズ)は、いずれも世界的なETF運用会社です。
設定日の違いで純資産総額が異なりますが、これだけの規模があれば流動性不足や上場廃止リスクはありません。
SPYの経費率が高いことが気になりますが、基本的にはどのETFを選択しても大きな差はありません。

どのETFも大きな違いはありませんが、私はVOOに投資しています。理由は以下の2つ。

  • 1つは尊敬する投資家ウォーレンバフェットがVOOをすすめているから
  • 2つ目はSPY、IVVに比べて1株あたりの市場価格が小さいから

単価が小さければ何度も分けて売買できます。相場を読み違えても、大きな傷を負わずにすむのです。

私は投資の楽しみは、買ったり売ったりすることにあると考えています。「長期、分散、積立」が投資の王道であることは否定しません。
しかし、まるで修行僧のように艱難辛苦じっと耐えるだけの投資スタイルは疑問です。「楽しみながら投資する」これが私の信条です。

なおS&P500に連動する商品として、東京証券取引所に上場され円貨で売買できるETFがあります。
また積立NISAで購入できる投資信託もあります。
しかし私の好みでなく、この記事では取り上げません。

●VOOとVGT(ITセクター)、VHT(ヘルスケアセクター)を比較

ETF比較VOO,VGT,VHT

VOOは500以上の銘柄に分散されたETFですが、他にもITやヘルスケアなどのセクターの比率を上げたETFなどもあります。
この章ではこれらのETFとの比較を行っていきます。

バンガードのS&P500セクター別ETF

ここまでVOOの説明をしました。VOOは500以上の銘柄に分散投資されています。
長期に安定したリターンをあげてきましたが、面白味に欠けるところはあります。
人間に例えると、有名大学を卒業し大手企業に勤務し生活は安定しているが、個性に乏しい退屈なタイプです。

投資の世界も、大きな冒険はしたくないが、もう少し味わいのある投資をしたいという人は少なくありません。
バンガードはS&P500を構成する10のセクターに連動する、10種類のETFを運用しています。
過去10年間の市場価格リターンが高い順に並べてみました。(2020.5.31現在)

セクターティッカー主な上位銘柄10年間リターン
1ITVGTアップル、マイクロソフト、ビザ455.4%
2ヘルスケアVHTジョンソン&ジョンソン、ユナイテッドヘルス345.1%
3一般消費財VCRアマゾン、ホームデポット、マクドナルド319.6%
4公共事業VPUネクストエナジー、ドミニオンエナジー203.9%
5生活必需品VDCP&G、コカコーラ、ペプシコーラ196.0%
6資本財VISユニオンパシフィック、ハネウェル、ロッキード179.1%
7通信サービスVOXアルファベット、フェイスブック、AT&T132.4%
8金融VHFJPモルガン、バークシャー、バンカメ131.6%
9素材VAWリンデ、エコラボ、エアプロダクツ&ケミカル123.6%
10エネルギーVDEエクソンモービル、シェブロン-14.8%
参考S&P500VOO240.7%(開設以来のリターン)
(出所)バンガード・インベストメンツ・ジャパン 商品案内

暴落に強いETFは? コロナの影響で考える

10年間リターンはIT、ヘルスケア、一般消費財が圧倒的に強いことが分りました。こうした優等生はえてして下落局面に弱いものです。

S&P500は新型コロナウイルス感染症流行の影響で、2020年2月から下落し3月に底をつけました。2019年12月末を100とすると2020年3月末の各ETFの指数は【グラフ3】のとおりです。

指数が大きいほど暴落の影響が少ないことになります。
予想に反して、10年間リターンの高いVGT(IT)とHVT(ヘルスケア)は暴落の影響度も低くなっています。天は二物を与えます。

2020年3月コロナ暴落の影響度
(出所)バンガード・インベストメンツ・ジャパン 商品案内

数値的な観点からの比較

まず、設定日、純資産総額、経費率、市場価格(1株)、買付け手数料を見ます。

VOOVGT(IT)VHT(ヘルスケア)
運用会社バンガードバンガードバンガード
設定日2010.9.72004.1.262004.1.26
ETF 純資産総額
(2020.3.30)
1,202 億$228 億$88 億$
経費率(年)0.03%0.1%0.1%
市場価格(1 株)
(2020.6.5 終値)
293.61$270.43$196.64$
買付け手数料ゼロ0.495%0.495%
(出所)バンガード・インベストメンツ・ジャパン 商品案内。買付け手数料は楽天証券、SBI 証券など。

【経費率】の比較

VGT と VHT の経費率は 0.1%で VOO の 0.03%より高くなっています。
純資産総額が 5 分の 1 以下であることを考えるとやむをえません。ステートストリート(SPDR)が運用するセクター別 ETF の XLK
(IT)と XLV(ヘルスケア)の経費率が 0.13%ですので、0.1%は不合理な水準ではありません。しかし⾧期の運用では、0.03%と 0.1%の差は無視できません。

【分配金と利回り】の比較

つぎに過去 3 年間の分配金と利回りを見ましょう。VOO が利回り 1.9%で優位にあります。
企業が利益を分配金にまわすか、成⾧投資にむけるかは議論が分かれます。
また利回りは今後変動しますので、現時点では VOO が優位という認識にとどめましょう。

配当比較

【買付け手数料】の比較

楽天証券、SBI 証券など国内ネット証券会社の買付け手数料は、VOO はゼロです。
VGT、VHT は約定代金の 0.495%(税込み)が必要です。
⾧期に買付けを継続の場合、この差は無視できません。

このように VOO、VGT(IT)、VHT(ヘルスケア)を比較すると、10 年間リターン、暴落時影響度は VGT、
VHT が優れています。一方 VGT、VHT は経費率、買付け手数料の面で劣後している点が気になりま
す。

VOO をやめて VGT、VHT を買うべきか?

それでは VOO をやめて、VGT(IT)、VHT(ヘルスケア)を買うべきでしょうか? 私はそうは思いません。
VGT と VHT は過去 10 年間のリターンは 1 位と 2 位でしたが、今後の 10 年間もその位置を守れるか
誰にも分かりません。

各セクター(産業)に栄枯盛衰はつきものです。
VOO の最大の⾧所は、11 セクターの 500 社に分散投資していることです。
皆さんは、これから 20 年~30 年先を視野に投資を考えていることでしょう。
経費率と買付け手数料で VOO が優位にあることは、⾧期投資において重要な意味をもちます。

⾧期の投資戦略は大局観が求められます。今後も米国経済の成⾧を信じるのであれば、投資のベースは
VOO に置くべきです。その上で VOO を補完するサテライト ETF の保有を考えてください。

●米国経済が衰退する場合のVOO のリスク、弱点と私の対策

⾧期の投資に VOO を選ぶ場合も、リスクと弱点を認識した対策が大切です。

米国経済衰退のリスクと対策

VOO の選定は、「今後も米国経済の成⾧を信じる」ことが大前提です。
一方、近年中国をはじめとする新興国の台頭はめざましく、米国経済が衰退する場合に備えたリスク対策は必要です。

私はリスクカバーのため、「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」に定期定額投資しています。
MSCI社が公表する新興国株式インデックスに連動して運用される円建ての投資信託です。
「インデックスの国・地域別構成比率」、「組入れ上位銘柄」、「基準価額の推移」は以下のグラフと表のとおりです。
組入れ銘柄は、中国、韓国、台湾などの有名会社が並んでいます。
しかし、基準価額の推移はパットせず、いまだファンド設定日(2017.7.31)を下回った状態にあります。

私は本来、相場の動きを見ながら売買できない(ブラインド方式)投資信託は好みではありません。
また多くの国・地域を対象とすること、外貨建ての外国株に円貨で投資することは避けたいところです。
しかし、このファンドへの投資は利益が目的ではなく、米国経済衰退の万一のリスクカバーです。
今は眠ったようなファンドですが、目の前の価額変動にとらわれず⾧期に保有継続の方針です。

新興国株式インデックス構成比率
出所:eMAXIS Slim 新興国株式インデックス 交付目論見書 2020.1.25 版 (以下おなじ)
銘柄業種国・地域比率
1アリババ小売米国4.3%
2台湾セミコンダクター半導体台湾4.1%
3ティンセントメディア韓国3.9%
4サムスンテクノロジー機器米国3.5%
5MSCI サウジ米国2.3%
6中国建設銀行香港銀行香港1.3%
7平安保険香港保険香港1.1%
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス【組入れ上位銘柄】2019.10 末
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス 基準価額の推移
eMAXIS Slim 新興国株式インデックス

短期のハイリターンは期待できないのが弱点

VOO は 11 セクター、500 銘柄に分散投資しますので、短期のハイリターンは期待できません。
少し遊び心が欲しいところです。
そこで私は、VOO をベース ETF とし、それを補完するサテライト ETF を持つことにしています。
サテライト ETF は旬が命ですので、5 年くらいのピッチで入れ替える方針です。

現在は、「i シェアーズ NASDAQ バイオテクノロジーETF (IBB)」をサテライト ETF としています。組込み
上位銘柄には、コロナウイルス治療薬のギリヤドサイエンシス社やワクチン開発中のモデルナ社が入っています。
ちょっぴり危険な匂いのする ETF ですね。

IBB は 2015 年に高値をつけた後、ボックス圏にありました。私が買い始めたのは 2020 年 4 月からですが、これから時流に乗って暴れまわってくれると期待しています。

IBB価格推移
(出所)ブラックロック社 ETF 商品情報サイト

●私の VOO 投資体験

私は 2016 年までの 10 年間、海外に駐在していました。
帰国後株式投資を再開しましたが、2017 年から 2018 年のドル円レートは 110 円台半ばの円安にあり、米国株投資には消極的でした。
そして2019 年後半ようやく 105 円前後の円高がやってきましたので、米国株の比率を高めました。

2017 年からの VOO 購入状況(2020.6.5 現在)はつぎのとおりです。

VOO購入履歴

VOO は 2020 年 3 月暴落から 4 月 5 月の回復局面にかけて、価格は大きく上下しました。
暴落は買い時といわれますが、最低売買単位が 20 万円を超えるような場合、まだ下がるのではとの恐怖感が強くなかなか買えないものです。
VOO は 1 株単価が小さいので、この間何度も買い続けることができました。
結果として、暴落を利用し平均購入単価を下げることができました。

最初から購入平均単価を下げようと意図したのではありません。
VOO の 1 株単価が小さいので、何度も気楽に売買できた結果です。2 月から 5 月にかけて、深夜ニューヨーク証券取引所の株価をながめながら、指値したり成行で買ったり至福の時を過ごすことができました。

●まとめ

VOO の特徴は理解できましたか? 解説ポイントをまとめます。

  • これまで米国株式は、米国の強い経済成⾧力を反映し高いリターンをあげてきた
  • 今後の成⾧も期待できる
  • なかでも VOO は 11 セクター、500 銘柄に分散投資され、他のセクター別 ETF に比べ⾧期の安定した成⾧が望める
  • VOO は小さな単価で何度も売買できる。暴落時に購入しやすく、平均購入価格を下げることも可能
  • VOO をベース ETF として、他にちょっと危険な匂いのするサテライト ETF を保有するのも一案

投資は大局観を持つこと、そして自分なりの投資スタイルを確立することが大切です。
大局観とは現在から20 年 30 年先までの将来の世界像を動的にイメージすることです。
そして実際の世界の動きを見ながら、ズレが生じたら弾力的に修正することが重要です。

米国が政治、経済、軍事、産業、科学技術、文化などで、今後もイノベーションをくり返し世界をリードして
いけるかが大きな関心事です。私は VOO を投資の王様と考えていますが、今後も輝き続けてほしいものです。

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